
2026年6月7日、いわき市内の路線バス運賃が無料になる「バス無料デー」が実施されました。
2026年では3月18日に続く2回目の開催です。2025年は10月19日に実施されているそうなので、休日と平日で年度内に2回あるのかな?という感じでしょうか。今年度中に平日実施があるかもしれません。
6/7、この日は、ふくしまデスティネーションキャンペーン(ふくしまDC)と連動した小名浜エリアのイベント「いわき大まつり」開催日でもあり、イベント公式サイトからも、市のバス無料デーの案内ページへリンクが有りました。
せっかくの機会だったので、実際に路線バスを利用していわき駅から小名浜方面への主要幹線「いわき鹿島小名浜線」に乗って移動してみました。
普段は車移動が中心(たまにバイク、ごくまれに自転車と徒歩)の筆者が利用して感じたことをまとめます。
バス無料デーとは?
バス無料デーは、いわき市内を運行する路線バスが無料で利用できる取り組みです。これは市内の路線バスを運行する新常磐交通といわき市が連携して、公共交通の維持などの課題を検証する、実証実験のようなものだと解釈しています。
利用方法は非常にシンプル。
通常どおり乗車時に整理券を取り、降車時に運賃箱へ整理券を投入するだけです。
大人も子どもも無料で利用でき、市内在住・市外在住は問いません。
普段バスを利用しない人(=筆者)でも特に難しいことはありませんでした。
今回利用したルート
今回は、いわき駅から鹿島街道を経由して小名浜方面へ向かう主要路線を利用しました。
実際にルートを調べてみると、普段、車しか利用しない人にとっては意外と分かりにくい部分もあります。
例えば、
- 人口の多い郷ケ丘方面からは団地内を経由する路線と鹿島線の乗り継ぎが必要な場合がある
- 中央台から小名浜方面への直通便は土日は本数が少ないため、こちらも乗り継ぎ必須
- 自由ケ丘、郷ケ丘、中央台などは鹿島街道まで徒歩移動して主要幹線のバス停に乗る方がわかりやすい
などです。
場所と時間帯によっては、団地内バスを待つより鹿島街道沿いのバス停まで歩いて行った方が、わかりやすいだけでなく、総移動時間も短くなるケースもありそうでした。
最適解はGoogleマップで調べるのがおすすめ
今回調べていて便利だったのがGoogleマップのルート検索です。
出発地(自宅で良い)と目的地を入力し、「公共交通機関」を選択すると、
- どのバス停から乗ると便利か(バス停までの徒歩移動時間と距離もわかる)
- 乗り換え回数
- 所要時間
- 運賃
などをまとめて確認できます。
新常磐交通の時刻表は運行情報の確認には便利ですが、普段利用しない人にとっては「どのルートが最も効率的なのか」が分かりにくいこともあります。
まずGoogleマップで全体ルートを確認し、その後で時刻表を見る方法がおすすめです。もちろん、徒歩移動も含めてナビしてくれるので、道に迷うこともないと思います。


実際の混雑状況は?
当日は日曜日の午後ということもあり、車内は比較的混雑していました。
いわき駅から小名浜方面へ向かう便では、筆者は終始立ったまま移動することになりました。
利用者を見ていると、
- 高齢者
- 中高生や大学生と思われる若い世代
- 家族連れ
が目立ちました。筆者のように1人で移動に使っている方もちらほら見かけました。
社内では、イオンモールのシネコンに映画を見に行く学生らしきグループの会話も聞こえ、普段はこの路線を利用していない人も無料デーをきっかけに乗車していたようです。
また、小名浜近隣から乗車したと思われる家族連れも見られました。
普段は車移動が中心と思われますが、子どもに整理券の取り方や降車ボタンの押し方を教えている様子もありました。
利用者数の増加だけでなく、子どもたちが公共交通を体験する機会にもなっていたように感じます。
中には無料デーを知らずに乗車し、運賃を支払おうとして運転手に止められていた外国人観光客らしき二人連れの姿も見られました。
通常運賃だと意外に高い
今回利用した区間は無料でしたが、通常運賃ではそれなりの金額になります。
例えば、
- いわき駅~イオンモールいわき小名浜:片道760円
- 郷ケ丘方面~小名浜:片道570円(直通)~770円(乗り換え)程度
- 中央台方面~小名浜:片道510円か530円(直通)~790円(乗り換え)程度
となります。往復で1000円以上、1500円程度まで、1人当たりかかるということで、家族で利用した場合は負担額も大きくなります。
ただし、普段車移動をしている人の場合、比較対象はバス運賃ではなく自家用車です。
筆者の場合、同じ移動を車で行えばガソリン代は数百円程度。車の維持費などは、支払い済という感覚が強いので、この場合はガソリン代が比較対象として頭に浮かびます。
そのため、無料で乗れたことはありがたかったものの、「1000円以上得した」という感覚より、「車を使わずに済んだだけ」という感覚の方が近いものでした。
運賃がかからないメリットよりも、不慣れなバス移動で不安になるデメリット
実際に利用してみて感じたのは、運賃よりも移動への不安でした。
例えば、
- 平日と土日の時刻表を見間違えていないか
- 終バスは何時なのか
- 行き先を間違えて乗らないか
- 乗り場はここで合っているのか
といったことです。以前、東京に住んでいたときは大量のバスが行き来するので、行き先表示を見間違えて別の路線に乗ってしまった、乗ってしまうのでは?という不安がありまして、今回も似たようなことが。
1本早いバスが、もう来たのかなというタイミングでよく見ると行き先が違う、危ない危ないみたいな感じでわかってはいるけど不安にもなるという。筆者が心配性というのもありますが、やはり、乗り慣れてないと不安がわいてきます。
もちろん、事前に時刻表をスマホにも保存し、バス停で画像を撮ったり、当日の運行状況も確認していました。
実際、利用した便は約3分遅れて到着しましたが、運行状況サイトで確認できたため不安はありませんでした。
それでも普段車移動に慣れている身としては、「ちゃんと帰れるだろうか」という感覚が常にありました。それと、たまたま無料デーのちょっと前に、路線バスと一般車両の交通事故を目撃していて、事故処理が終わるまで足止めされて、代替えのバスが来ないと次に進めないんだよなというのを実感してしまったことも大きかったかもしれません。
自分で運転する車と違い、移動手段を誰かに委ねることへの不安があったのだと思います。
イベントには電車+無料シャトルバスという選択肢もあった
今回のふくしまDCでは、JR利用と泉駅からの無料シャトルバスも案内されていました。
電車は路線バスより定時性が高く、本数も比較的安定しています。
しかし、いわき市の場合は「駅までどう行くか」という問題もあります。
バスで駅へ行き、電車で泉駅へ移動し、さらに無料シャトルバスへ乗り換えるとなると、乗り換え回数は増えます。
車であれば自宅から目的地まで直接移動できるため、やはり利便性では大きな差があります。
車で大規模な駐車場まで行って、シャトルバスに乗り換えるような混雑必至のイベントなどでは、21世紀の森公園などが代替駐車場となって、移動するケースもありますが、今回はそのようなパーク&ライド用駐車場が公式に案内されていたわけではないので、車は家に置いていくのがマナーも含めて正しかろうという考えです。
小名浜で飲めるのはメリット
酒好きな筆者にとって、バス移動の大きなメリットは飲酒できることです。
今回も「せっかくバスで来たのだから飲んで帰ろうか」と考えました。
しかし、イベント会場では試飲コーナーはあったものの、午後には酒類がなくなっているブースもありました。前日午前中に延岡市のクラフトビールを買って、お持ち帰りしておけばよかった、とちょっと後悔。
また、小名浜で飲食店へ移動するにも再びバス利用を考える必要があります。
結局、イオンモールいわき小名浜のフードコートで軽く飲食して帰ることにしました。
バス無料デーを利用して感じたこと
今回利用してみて感じたのは、バス無料デーそのものには十分な意義があるということです。
実際に普段は利用しない人や学生、家族連れの利用も見られました。
公共交通を体験するきっかけとしては非常に良い取り組みだと思います。
一方で、もし通常運賃の日に同じルートを利用するかと聞かれれば、個人的な答えは「ノー」です。
理由はバスが嫌いだからではありません。
いわき市では自家用車による移動があまりにも便利だからです。自家用車移動のメリットは思いつく限りでは、
- ドアtoドアに近い感覚で現地に行ける
- 好きな時間に行く、帰ることができる
- 荷物も積める、機材も持って行ける
- 近隣の別の目的地、なんならちょっと離れたところにも気軽に移動可能
- 維持費は固定費と考えれば、移動にかかる費用はガソリン代程度
対して、バス移動のメリットは、
- 酒が飲める
- 駐車場の心配がいらない
くらいしか思いつけなかったんですよ。悲しいことに。出先で飲むとか、取材後に飲むということは、コロナ禍後は本当に減ってしまったということもあります。
そして、普段使いしにくいなと感じたのは、運賃がどんどん高くなっている昨今の現状でしょうか。自家用車のガソリン代などは国の施策もあって、まだ抑えられていると思いますが、路線バスは結構値上げが続いています。
そして、今回乗ってみて改めて感じたのは、課題は運賃だけではないということでした。
本数、乗り継ぎ、移動時間、終バスへの不安。
こうした要素も利用のしやすさに大きく影響しています。
市や交通事業者、経済団体などが公共交通の維持について協議を重ねていますが、実際に利用してみると簡単な解決策はなかなか思い浮かびません。
個人的には、バス無料デーのような体験機会に加え、交通系ICカードへのプレミアム付与など、普段から利用する人を後押しする仕組みもあって良いのではないかと感じました。
ただ、それも万能な解決策ではありません。
今回乗ってみて感じた結論は、「難しい問題だ」ということでした。
それでも、高齢者や学生、車を持たない人にとって路線バスが重要な移動手段であることは間違いありません。もし、自分が運転できなくなったら、と考えるとなかなか厳しい状況になることが今回わかりました。
バス無料デーは、公共交通の現状と課題を考える良いきっかけになる取り組みだと感じ、たまにはバスに乗ってみることも大事だな、としみじみ思いました。
バス移動で見に行った、いわき大まつりのかりゆし58ライブは、感動ものの素晴らしい内容だったこともあり、もし、バスで来た人だけの特典で前の方の席に座れるよ、なんていう動機付けがあったりしたら?バス移動一択だったかもな、などと考えてしまいました(笑)

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